立春を過ぎ、日差しが春めいてきています。
梅や水仙があちこちで咲いているのを見ると、季節は動いているのだなと感じますね。さて、皆さんそれぞれの月によって「この季節、なにを着ようかな」とコーディネートを考えることがあるでしょうか?
洋服の場合は、割と分かりやすく今年の流行色やデザインなどがありますが、着物の場合は一見大きく形が変わらないため、「色?柄?デザイン?」と悩ましかったりもします。
着物で季節のコーディネートを考えるときに、一番とりかかりやすいのは『何か季節のモチーフとなるものを身に着ける』ということかなと思いますが、今回はそれだけでない、色などからも春を感じることができるということを書いてみようと思います。
春らしい着物コーディネートとは?
春らしさ…皆さんはどんなイメージを思い浮かべますか?
洋服も春物というと、シフォンなど軽やかな素材のものが出てきますが、着物では袷と呼ばれる表地と裏地の二重仕立てのものがこの季節に着られます。
夏物のような透け感のある着物は、この時期にはまだあまり見かけません。
(塵よけコートなどは、この時期に着るものでも“透け感あり”というものもあります)
となると、まずは色を基調にしたコーディネートで春を表現したいですね。
まだ少しかすみがかかったうららかな青い空。
菜の花の黄色、芽吹いてきた若草色の葉や 梅・桃・桜などの咲きほこるピンク…
全体的には優しく淡い色合い、などでしょうか。
ですので、明るいイメージの優しい色合いのものを身に着けると「春らしい!」と感じるのではと思っています。
たとえば「帯は青空、帯締めはふきのとう、帯揚げは菜の花…」と連想したりコーディネートをするのも素敵だと思います。
私は3月になってくると、とたんにグリーン系やパステル系の色に手が伸びます。普段の反動か、明るい色が着たくなるのです(笑)
ボトルグリーンの着物には白っぽい帯を合わせたり、パステルグリーンの着物には淡い色の帯をあわせたり…。
淡いパープルの着物に白っぽい帯を合わせてさらに明るさを表現したり…という感じです。
ぜひ、コーディネートの時にもこの色合いを楽しく考えながら、合わせてみてくださいね。
私が春に着たい着物コーディネートを紹介します
私がこの春に着たいコーディネートはこんな感じです↓
1.すっきりした緑の濃淡格子の着物に、春らしい色合いの帯で。
黄色は元気でかわいい印象になりますね。
着物:片貝木綿(木綿)
帯:左/二部式名古屋帯(ポリエステル) 右/8寸名古屋帯(正絹)
2.かすみがかった青空をイメージした着物に、帯は流水紋で雪解けの流れを連想。
分かりにくいのですが、柄の中にはゼンマイの新芽の綿毛を糸に撚り混んで織っています。新芽も春ならでは…。
着物:御召(正絹)
帯:洒落袋帯(正絹)
3.淡い紫と、その同系の茶色。すみれのようなイメージです。少しキラキラした帯を合わせて春のおめかし感を。
着物:染ぼかし小紋(正絹)
帯:袋帯(正絹)
春の柄にはどんなものがあるの?
着物の場合、洋服よりも、明確にその季節の花や行事ごとをデザインすることが多いように思います。
花と言えば、梅、桃、桜、菜の花など。3月の行事ごとと言えば、ひな祭りなども描かれます。
写実的なものからデザイン化されたものまで、幅広くありますね。
着物も帯も、そういったモチーフが柄として織り込まれていたり、友禅のように描かれたり様々です。よく見ないと分からないものから、
すぐわかるもの、どーんとしっかり主張して表現されているもの、など。
いつまで着られる?
よく 『着物はその描かれたものより少し先取りがおしゃれ』とも言われますが、最近ではそこもおおらかになっていますし、早めに着る場合は「先取り」、ジャストシーズンの場合は「今だから」、少し後の場合は「名残りで」という風にとらえて、長めに楽しまれても良いのではないでしょうか(笑)
お約束事のある場以外の、ご自身で楽しまれるコーディネートはぜひおおらかに!
和つなぎラボ
小林
Comments