単衣着物の楽しみ方とコーディネート
- 川島織物 和ラボ

- 5月11日
- 読了時間: 5分

季節の変わり目に、着物も衣替え
春から初夏へと季節が移り変わる5月。草木の緑もいっそう濃くなり、日差しが少しずつ強く感じられるようになりますね。
着物にも、そんな季節の移ろいを感じる「衣替え」の習慣があります。厚みのある袷(あわせ)から、裏地のない軽やかな単衣(ひとえ)へ衣替えしていきましょう!
単衣(ひとえ)ってどんな着物?
「単衣(ひとえ)」とは、裏地がついていない1枚仕立ての着物のこと。とても軽くて、見た目も着心地も涼しげです。裏地がないぶん、袷(あわせ)よりもずっと軽く、着ていてとってもラク。
6月と9月に着るもの、とされていましたが気候も変わってきている昨今は、「体感重視で着て良いですね!」と変わってきています。春と夏、晩夏から秋などの「はざま」の時期にちょうどよく、春に着るものは”春単衣”、秋に着るものは”秋単衣”という呼ばれかたもします。
私も着心地が軽い単衣が大好きで、着ると開放感を感じます。暑く感じる時期が長くなり、活躍してくれる時期も年々延びています。
袷と単衣の違いについては こちらのブログでもご紹介していますのでぜひご覧ください

単衣を着るメリットって?
単衣の魅力は、なんといってもその「軽さ」と「涼しさ」。
5月になると、昼間は汗ばむような陽気の日も増えてきますよね。そんな時、袷のような厚みのある着物では暑く感じてしまうことも。でも、単衣なら風が通ってとても快適で、肩もこらず動きやすいのです。
それに、明るい色で爽やかなデザインの着物だと見た目も季節にぴったり。気持ちまで軽やかになって、ちょっとしたお出かけもいつもより足取りが軽く感じるかもしれません☺
初心者さんにもおすすめ!カジュアルシーンでの単衣コーデ
「単衣の着物って、どんなものを選べばいいの?」という声をよくいただきます。はじめてさんには、たとえば「綿」や「綿麻(めんあさ)」「ポリエステル」素材の着物がおすすめです。お洗濯もしやすく、気軽に着られるので、おでかけや普段使いにぴったりです。もちろん、「絹」の単衣も着やすいので、お好みで選んでください。
色や柄は、季節に合わせて明るめのものを選ぶと、5月の爽やかな空気によく合います。白や水色、若草色など、新緑を感じさせる色も素敵です。
帯は、あまりかっちりしすぎなくても大丈夫。半幅帯や兵児帯、名古屋帯などで、ふんわりと気軽に結ぶのも良いですね。帯揚げや帯締めも明るい色を合わせて、春夏らしく軽やかな印象にしてみてはいかがでしょうか。
単衣に関するよくあるQ&A
これから単衣を着てみたい…と思う方から聞かれる疑問にお答えします。
Q. 単衣の下には何を着ればいいの?
長襦袢(ながじゅばん)を着ますが、着物と同じく単衣仕立てです。肌触りのよい絹や、木綿、麻など涼しい素材のもの、気軽に洗えるポリエステルなどを選ぶと快適です。上半身だけの”半襦袢”と下半身は”ステテコ”などの組み合わせも良いですね。
単衣の着物は生地自体も薄かったり、淡い色合いだったり…というものもあります。長襦袢などを着て、下着が透けないようにご注意ください。下着はベージュ系などがおすすめです。

Q. 汗をかいたときのお手入れは?
洗える素材のものだと、気兼ねなく着ることが出来て安心です。洗えないものは、シーズンが終わったら着物のお手入れ専門店へお早めにご相談ください。
お家でのお手入れ方法はこちらもご参考になさってみてください。(夏の着物も単衣です)
Q. 単衣の着物に合わせる帯や小物は?
最近では、帯も単衣向き、単衣用、といったものがあり 見た目が涼やかなものがおすすめです。素材としては絹、麻、ポリエステル、木綿などがあります。種類としては袋帯、名古屋帯、半幅帯が合わせることができます。
単衣用帯を合わせる時は、半衿や帯揚げは楊柳やたて絽など。帯締めは涼やかに見えるものを。

左〉着物:綿麻縮/名古屋帯:絹紗紬/帯揚げ:麻絽/帯締め:絹
右〉着物:絹ポリエステル/名古屋帯:絹/帯揚げ:絹楊柳/帯締め:絹三分紐/帯留め:ガラス

左〉紗紬の帯はよく見ると少し透け感があり、ざっくりとしていて涼やかさがあります
右〉黄繭から紡いだ紬糸で織られた手織名古屋帯は、透け感はありませんが涼やかな風合いです
また、帯から季節を先取りしていくことが多いため、6月には絽綴や透け感のある夏帯を合わせてもOKです。帯と小物(半衿、帯揚げ、帯締め)は季節を合わせることが一般的です。
夏帯を合わせる場合は、半衿や帯揚げを絽や透け感のあるものに、帯締めもレース組などの夏物に。目からも涼しさを感じていけるようにしたいですね。

左〉絽の袋帯
右〉絽綴の名古屋帯

左〉絽目(緯糸方向に見える織り目の隙間)が細かいので、早くから単衣に合わせやすい帯です
右〉絽目が波状になっている絽綴は、透け感が強いので涼やかさも明確です

帯揚げ:上から順に〉絽(麻)・絽(絹)・絽絞り染(絹)・絽ちりめん(絹)・楊柳(絹)
麻は盛夏にも。絽は帯と合わせて単衣から夏。絽と楊柳は単衣に使われることが多い帯揚げです。

帯締め:上から順に〉レース組(絹)・麻×麻・レース組(絹)・四分紐(絹)・冠組(絹)
透け感の強いものは盛夏にも。細めの帯締めは単衣に。冠組は通年使えます。
単衣から、気兼ねない着物時間を
初めて迎える季節の着物は、なんだか難しそうに思えるかもしれません。でも、単衣の着物は、軽くて着やすくて、はじめの一歩にとてもおすすめです。
5月の風を感じながら、気兼ねない着物時間を楽しく過ごしてみませんか?
カジュアルシーンからだからこそ「ちゃんと着なきゃ」と思わなくて大丈夫!
最初はちょっと不安でも、「ちょっと着てみようかな」と思ったその気持ちがとても大切です。
この春から、あなたらしい着物時間を始めてみてください!


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